回虫(カイチュウ、蛔虫とも)は、ヒトをはじめ多くの哺乳類の、主として小腸に寄生する動物で、線虫に属する寄生虫である(「分類」を参照)。狭義には、ヒトに寄生するヒトカイチュウ Ascaris lumbricoides を指す。ヒトに最もありふれた寄生虫であり、世界で約十億人が感染している[1]。本項では主としてヒトカイチュウについて記載する。 雌雄異体であり、雄は全長15 - 30cm、雌は20 - 35cmと、雌の方が大きい。環形動物のミミズに似た体型であり、 lumbricoides (ミミズのような)という種名もこれに由来するが[注釈 1]、回虫は線形動物であり、環形動物とは全く異なるので体節も環帯もなく、視細胞などの感覚器も失われており、体の両先端に口と肛門があるだけで、体幹を腸が貫通する。生殖器は発達し、虫体の大部分を占める。成熟した雌は1日10万個から25万個もの卵を産む。 最大