記事保存 日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。 ひところ言われた受験戦争という言葉がある。一定の世代の方には、あまり思い出したくない勉強漬けの日々の記憶があるのではないだろうか。日本や韓国に特有の文化的なものかと思いきや、アメリカでも似た状況が起きているらしい。エリートを目指す10代の若者が、メンタルに変調をきたすほど追い込まれているというのだ。 出自によらず、能力の高いものが成功を手にすることできる――こうした「能力主義(メリトクラシー)」が社会を毒していると警鐘を鳴らすのが本書『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(鬼澤 忍訳)。TV番組「ハーバード白熱教室」で人気を博したハーバード大学の政治哲学教授、マイケル・サンデル氏の新著である。報酬や地位は能力に従って割り当てるべきだという、一見フェアなこの考え方の何が問題なのか