会社帰りの深夜の、電車での帰宅途中。扉脇の座席に座って英語の勉強をしていると、 「うおっ!」と声がしてた。 声がした扉の方を見ると、3、40才代のサラリーマン風のおじさんが、扉の外で網棚に置いた私のバックを必死で引っ張っていた。 私はバックを網棚に置くときに、盗難防止のためにショルダーのベルトを網棚の棒の一本に巻きつけてある。 そのおじさんは、自分のバッグと私のバッグを間違えて網棚からとったが、そのショルダーが巻きついていたためにとれなかったようだ。 「おじさん。(私もおじさんだが、、)それ、俺のバッグだよ」 と立ち上がって声をかけると、 「あ、間違えた」 と言ってバッグを手放して走り出した。 「おじさん。自分のバックは?」 と走るおじさんの後姿に声をかけたが、ドアが閉まってしまった。 私の降りる印西牧の原駅は、その線の終点だ。 先ほどの男が残して行ったであろうバッグを駅に届けておいてあげ