乳幼児期の教育・保育制度に関しては、少子化対策と教育政策としての2つの議論があります。少子化対策としては、女性の就業率を引き上げる観点から「待機児童ゼロ作戦」等の保育施設の整備事業が進行しています。教育政策としては、児童虐待問題、「小1プロブレム」、幼稚園児のコミュニケーション能力や運動能力の不足等、子どもの問題に焦点を置いた幼児教育や家庭教育に関する議論が深化しています。こうした議論を背景に、小学校就学前の教育制度が注目されるようになりました。 まず、国内の乳幼児期の教育・保育制度の動向を見てみましょう。日本では、2003年の認可保育所の設置主体制限の撤廃を契機に、株式会社や学校法人等による保育所の民営化が進んでいますが、同時に、国の制度に入らない認可外の保育施設が増加しています。さらなる動きとしては、保育料の負担軽減と幼児教育の無償化に向けた議論と、2006年10月の認定こども園制度の