著者: 原田康平 6年前の夏、車で日本各地を巡る「オギーソニック」というキャラバンを敢行した。目的地は鹿児島。 東京を皮切りに、長野、名古屋、神戸、岡山、尾道、広島、萩、北九州、大分、別府と、さまざまな土地を巡り、それまでお世話になった人や仲が良かった人たちに挨拶する意味を込めてのキャラバンだった。「旅するデザイナー」と名乗るようになったのも、このころからだったように思う。 インハウスのグラフィックデザイナーとして3年と4カ月勤めた地元・名古屋の食器メーカーを退職し、友人からの依頼を少しずつ受けていくうちに、いつの間にか僕はフリーランスになっていた。退職後1年くらいは長野や東京のゲストハウスやシェアハウスを渡り歩きながら仕事をしていたのだが、2014年の春ごろ、鹿児島の友人から一緒に働かないかと連絡をもらった。 元々、鹿児島は3カ月に一度のペースで遊びに行くほど大好きな街で、ラップトップと