「フォンデュベーカリー」店主の藤本尚子さん こちらも記憶どおり、パワフルでおしゃべり好きな店主・藤本尚子さん(70代)は、あっけらかんと笑う。 「前は、誰でも自由にパン耳を持って帰れるようにしていたんですよ。でもお客さんたちが『申し訳ないからお金をとって』って言うから、今は20円でも100円でも、お気持ち次第でいただいてます」 「フォンデュベーカリー」の厨房では、パンの耳で作った黒糖かりんとうの袋詰め作業が行われていた。「今どきの高校生はカロリーを気にするから、油で揚げずに焼いているの」(藤本さん) 900円のパンを“プレゼント” フォンデュは、創業約40年の老舗。薄利多売のビジネスモデルである街のパン屋が、時代の荒波に負けずに生き残っている秘訣とは何なのか。藤本さんに尋ねてみた。 「いやほんと、大変ですよ。うちはサンドイッチの具の卵サラダなんかも全部手作りで、コストはかかるけど、だからこ