江戸時代に焼失した江戸城天守閣の再建に、菅義偉前首相が言及した。かねて賛否がある東京の懸案事項だが、今回は直近まで内閣総理大臣を務めた人物の発言。どんな思惑があるのか、タイミングも含めて臆測を呼んでいる。政治家が前のめりの城は他の地方にも。コロナ明けのインバウンド(訪日客)ブームとはいえ、為政者が心引かれるのはなぜなのか。(西田直晃、安藤恭子) 菅氏が天守閣再建に触れたのは、12日のフジテレビ「日曜報道 THE PRIME」。番組ホームページによると、「なかなか簡単ではない」と慎重な姿勢も示しつつ、「推進するためには大きな方向性と世論をつくらなければならない」と再建への道筋を示した。 江戸城の天守閣は50年間だけ存在した。千代田区観光協会によると、徳川家康が江戸幕府を開いた直後の1607年に完成。将軍交代のたびに2回築き直されたが、57年の明暦の大火で焼失した。経済的理由などで再建は見送ら