堤陽子は、埼玉県の高校を中心に、アセスメントを通じたコンサルティング営業を担当している。 「日本の教育現場のカイゼンに自分が役立ちたい」―― そう強く願って、通信教育や、教育に関する出版事業などを手掛けるベネッセコーポレーション9783に入ったのは昨春のことだ。 堤が自分の仕事に「教育」を意識し始めたのは、大学時代にアルバイトで予備校の講師をしていた時だった。人に物事を教えて、その人が知識を習得し、無事に念願の大学へ入ってくれることが何よりもうれしかった。 そして教育を自分の仕事にしたいと本気で考えるようになったのは、大学4年生の時だった。 早稲田大学国際教養学部教授のカワン・スタントとの出会いがきっかけだ。「教育」に関心を示した点では同じだが、その理由は180度違う観点によるものだった。 受験に合格するのがすべて、という塾講師から、受験だけがすべてではないというスタントの考えに共鳴しての