高エネルギー加速器研究機構、東京大、神戸大などの日米研究チームは20日、私たちの世界と正反対のあべこべ(反物質)世界が存在しないことを示す宇宙線の観測結果を発表した。南極上空で世界最高感度の観測を行ったが、手がかりとなる反ヘリウム原子核が見つからなかったためとしている。 宇宙から降り注ぐ放射線である宇宙線は大気の影響を受ける。その影響を避けるため、測定器を載せた気球を上空36キロに飛ばして観測。56億件の宇宙線から、普通の物質であるヘリウムの原子核を4800万件見つけたが、反ヘリウム原子核は1件も見つけられなかった。 宇宙誕生直後、物質と反物質は同じ量できたが、両者の微妙な性質の違いから、最終的に物質だけが残り、現在の宇宙ができたとされている。ただ反物質でできた世界が宇宙のどこかに残っている可能性はあり、チームはその手がかりを探してきた。今後、同様の観測は国際宇宙ステーションで続けられ