コロナ禍で1年延期された異例づくしの東京五輪は、直前になって開会式の楽曲を担当していた小山田圭吾氏の辞任と開閉会式の演出を担当していた小林賢太郎氏の解任が相次ぐなどドタバタ続きだった。今回の騒動は「日本版の“キャンセルカルチャー”として、今後に大きな影響を与えそうだ」と語るのは、作家の橘玲氏だ。キャンセルカルチャーとは、有名人などの差別発言や過去の問題行動を洗い出し、ネット上で激しく批判し、存在を「キャンセル(抹消)」しようとする活動のことだ。その背景になにがあるのか。橘氏に話を聞いた。(全2回の前編) * * * ──東京五輪に関して、過去の発言・表現によって「辞任・解任ドミノ」が相次いだことをどうみていますか? 橘:公的な立場にある人物が過去の言動によって批判され、キャンセル(辞任)を求められる社会現象を「キャンセルカルチャー」といいますが、日本におけるはじめての本格的な事例になると思