「デートで映画なんてありえない。集中できないし、そもそも座りたい席が違うでしょ。そういうことに気を遣いたくない」という女性が増えているらしい。映画は恋人や友達と見てナンボという感覚は、もう古いのだろうか。 冒頭の台詞は僕の知人のコメントだ。彼女はいつもひとりで映画館に行く。見終わったあとに誰かとおしゃべりしたい、という欲求はないらしい。ブログやツイッターに映画評を書くわけでもない。 じゃあいったい何が楽しいの? 「いろいろあるけど、たとえば、新しい町に出会うヨロコビ、かな」 これまで降りたことがなかった駅の小さな二番館に足を運んでみる。行き帰りの道すがら、美味しそうなカフェや、奇妙な雑貨屋、いい感じの銭湯なんかを発見できるかもしれない。映画館が自分の行動範囲を広げるきっかけになるわけだ。 なるほど、そういう楽しみ方もあるのかと思った。ひとりのほうがフットワークが軽くて好き、という「おひとり