たまたまなのだが、年末年始は、ジュディ・ダットンの「理系の子」とトーマス・カリアーの「ノーベル経済学賞の40年」を並行して読むことになった。前書の全米科学オリンピックを目指す子供たちの真実探求と問題解決にかけるひたむきさと、後書の「経済学は、そもそも何を発見したのか、何の役に立つのか」という根源的な疑念に貫かれた内容は、痛烈なほど対照的だった。 筆者も若い頃は、「常識的な知見を数式にしただけで、何がおもしろいんだ」と感じていたので、カリアー先生の疑念はもっともに思える。唯一、ケインズの「合成の誤謬」に触れたとき、「あぁ、この人は天才だ。現実の中に常識を超える知見を探し出してこそ、真の学問というものだろう」と感じた。そして、いまだ経済学は、これを超える「発見」をしていないのではなかろうか。 こうなってしまったのは、個々の利益の追求が最大効率をもたらすとする「経済学」が、政府の介入や規制を否定
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