中国で普及している漢字の発音のローマ字表記「ピンイン」の成立に主導的な役割を果たし、「漢語ピンインの父」と呼ばれた中国の言語学者、周有光氏が14日、死去した。111歳だった。中国メディアが一斉に伝えた。 中国メディアによると、周氏は江蘇省出身。上海の大学で経済学や言語学を学び、1933年から2年間、日本に留学。経済学の教授や銀行員などを務めていたが、新中国成立後間もない50年代、周氏の漢字改革についての論文が注目され、中国文字改革委員会の要請で「漢語ピンイン計画委員会」の委員になった。識字率の向上などを目的にピンインの考案に貢献し、58年の全国人民代表大会(全人代)の決議で現在の形式のピンインが導入され、教育現場で普及した。パスポートなどにもピンイン表記が使われている。 退職後は、外国メディアの取材に対し、共産党に対する批判や民主主義の重要性を主張していた。(北京=西村大輔)