「異分子的存在」から考える「森喜朗の苦手なこと」 それでいえば森喜朗の著書『遺書 東京五輪への覚悟』(2017年)にこんな記述がある。JOCは「異分子」が入ってくるのを嫌う体質で、森喜朗はスポーツ関係者でないことから「一番の異分子」であり、そのため警戒されて大事な会議があっても直前まで教えてもらえず、参加できないこともあったという。 ところが今や、見事に人心掌握を果たし、「異分子」を排除する立場に君臨している。では、森喜朗にとっての「異分子」とはなにか。それは表立って自由に発言する人たちだ。 森喜朗(右)と歴代総理の小泉純一郎(右から2人目)、福田康夫(右から3人目)©JMPA それについては、スポニチのウェブ配信記事「森氏失言の背景にJOC女性4理事」(注3)が分かりやすい。JOCの理事会はもともと原則的に公開で行なわれていたが、「公の場で話せない内容が多く、本音の議論ができない」(山下