1)はじめに 古典的な英雄譚のパターンがライトノベルにどのように受け継がれているかについて書いてみたいと思います。 ここでいう「パターン」とは、人によって「話形」とか「物語の構造」とも呼ばれるありがちなストーリー展開のことです。「お約束」とか「王道」と言っても良いでしょう。 後半、「4)英雄譚の末裔」以降に前田珠子さんの「破妖の剣」(集英社コバルト文庫)、榊一郎さんの「スクラップド・プリンセス」(富士見ファンタジア文庫)、中村うさぎさんの「ゴクドーくん漫遊記」(角川スニーカー文庫)についてのネタばれがありますのでご注意を。 2)英雄譚の1つのパターン まず次のa〜hをご覧下さいませ。 a.英雄は、高位の両親、一般には王の血筋に連なる息子である。 b.彼の誕生には困難が伴う。 c.予言によって、父親が子供の誕生を恐れる。 d.子供は、箱、かごなどに入れられて川に捨てられる。 e.子供は、動物