増え続ける児童虐待の中でも、「心理的虐待」が深刻さを増している。警察が児童相談所に通告した子供のうち、この分類の統計を取り始めた2006年は168人だったが、昨年はその70倍以上になった。 心理的虐待は、「生まれてこなければ良かった」などと子供に心ない言葉をぶつけたり、怖がらせたりする行為。児童虐待防止法で虐待の一形態として明確に規定されている。その急増の背景には、「面前DV」が目立ってきたことも大きい。子供に対する直接的な言動でなくても、配偶者への暴力を見せただけで、子供の心を傷つけるという考え方だ。 心理的虐待の急増について、厚生労働省の担当者は、「子供に暴言を吐く行為が虐待にあたることを認識していない親もいる」と分析する。親が過大な要求を子供にして、子供が思った通りに行動しないことに不満を募らせ、「ストレスのはけ口として、心ない言葉で子供に心理的なダメージを与えているケースもある」と