ノーマン氏の書籍を読んだのは『誰のためのデザイン?』に続き2冊目。本書は2004年初版ということで、実に15年も昔の本になる。取り上げられる例が古く感じるのが気になるが、主に情動という側面に焦点を当てた本ということで楽しめる。ここでいう情動とは、本能レベル、行動レベル、内省レベルという三段階の認知と情動システムを指している。これら3つが満たされた時、真に人々に受け入れられるモノのデザインができるとノーマンは説いている。 『誰のためのデザイン?』では機能性という側面に着目して行動レベルの話を扱っていた。しかしデザイナーからは「使いやすくはなるだろうが、見かけはひどいものになるだろう」との批判を受けたのだという。そもそも氏は、芸術性や情動を見下すつもりはなかった。デザインの世界で、単に機能性という側面の地位を上げたかったのだと言っている。ノーマン氏はそんな批判に加え、魅力的な美しさと知や、楽し