ヒヤル(حيل ḥiyal)とは、アラビア語で奸計、潜脱を意味する言葉で、シャリーア(イスラム法)に照らして合法(適法)的な行為を複数組み合わせて、本来はシャリーアにおいては非合法(非適法)な結果を達成する行為のことである。 法学派によってヒヤルの取り扱いには様々な議論が行われるが、トルコや中央アジアなど非アラブ圏に多いハナフィー学派では、ムフティーのファトワーがヒヤルを合法と認め、むしろ積極的に薦める場合すら多いのに対して、マグリブ(北アフリカ)に多いマーリク学派では厳格にヒヤルを否定する傾向がある。 金融におけるヒヤルは、シャリーアによって利子を取ることを禁じられたイスラーム圏において、シャリーアを回避しつつ実質的に利子を取ることを目的とした金融技術の一種ということができる。 ヨーロッパにおいては、いわば商業の発達に押し切られる形で、利子つき(=有利子)金融が教会からも公認された。だが