ハンガリーの映像作家、タル・ベーラの監督作品『ニーチェの馬』が、2012年2月から東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。 フランス・パリのルーヴル美術館でも上映された7時間半の大作『サタンタンゴ』や、37カットで2時間を超える長編を描き切った『ヴェルクマイスター・ハーモニー』などの作品で知られるタル・ベーラ。2007年の『倫敦から来た男』に続く新作となる『ニーチェの馬』は、監督自身が「最後の作品」と公言しており、同監督が長年培ってきた技巧と映画哲学が詰まった作品となっている。 同作は、1889年にイタリア・トリノの広場で泣きながら馬の首をかき抱き、そのまま発狂したと言われるニーチェのエピソードに着想を得て製作されたもの。暴風が吹き荒れるある田舎を舞台に、疲れ果てた馬、飼い主の農夫とその娘が過ごす6日間の物語が描かれる。台詞を徹底的に排除し、極限まで削ぎ落とした演