40歳の主婦・茜はある日、中学時代の塾講師・今井が彫刻家になったことを知る。しかし彼が発表した上半身裸の少女の彫像が、同じ塾に通っていた親友・紫がモデルなことに気づいてしまう。26年前、14歳の紫と今井は「恋愛」をしていた――。 現実世界と並行するような「創作と加害」の問題をリアルに描き出して読者を毎月ザワつかせている渡辺ペコさんの漫画『恋じゃねえから』の1話を紹介する。
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『ブギウギ』は「歌」で語りかけてくるドラマだった。その時々の人物の気持ちを必要以上に台詞にせず、歌に乗せて、あるいは表情で物語ってきた。「さよならコンサート」での「東京ブギウギ」に回想シーンなど乗せなくても、このドラマを愛した視聴者ならば、各々の心に自然とこれまでのスズ子の人生が浮かび上がってくる。 「画力」で語っていた 「映画は『画力(えぢから)と音力(おとぢから)』で語るもの」、「ドラマは『台詞力』で語るもの」などとしばしば言われる。映画学校出身で助監督を経て、数々の映画に脚本として携わり、自ら映画監督も務める足立紳氏がメインの脚本を担当するドラマだ(本作は全26週中、17週を足立氏が担当、9週を櫻井剛氏が担当した)。足立氏の作劇に引っぱられて、おのずと作品全体が映画的アプローチに寄っていったことは想像に難くない。 その顕著な例で、なおかつ出色の出来だったのが、第10週「大空の弟」だ。
龍崎翔子さん 撮影・石川啓次(文藝春秋) 銀行から融資を受けていたものの、とにかく資金が限られていたため、運営に必要な家具や備品は楽天や100円ショップなどでなるべく予算をかけずに揃えました。私が朝7時から夜24時までぶっ通しで顧客対応と予約管理を、(一緒に起業してくれた)母が、パートさんたちの力を借りながら40人分の調理と清掃を担うなど、二人三脚でなんとか運営するような日々。1円を惜しんで節約するあまり、自分たちの過ごす部屋もなかったので、地下室や脱衣所、廊下で寝泊まりしていました。 当時の夢は「ホテル王」になること。事業の拡大を念頭に起業をしたのですが、たった13室のペンション経営に手こずっている現実に、正直、これは正攻法で戦っても絶対に勝てないなと痛感しました。 ――そもそもなぜホテルだったのでしょうか? 8歳の時のアメリカ横断旅行での原体験 龍崎 原体験は、私が8歳の頃、両親の仕事
2018年10月にYouTubeで公開された、約3分のミュージカル短編のタイトルは「INSIDE OF EVERY DEMON IS A RAINBOW」(直訳:どんな悪魔の心にも虹がある)。異形の者たちが跋扈するサイケデリックな地獄の世界で、主人公の女性が「魂を更生させるホテルを開きたい」と高らかに歌い上げる。 猛烈な密度と速度で炸裂するアート、耳に残るキャッチーなメロディ、過激で下品で破壊的なユーモア、それでいて不思議と優しい「あなたたちの心にも“虹(善良さ)”はある」というメッセージ……。全てが強烈で、何度も繰り返し見てしまった。 その動画が制作中のアニメ作品の一部だと知り、「もし本編が公開されたら、凄い作品になるんじゃないか」という期待に胸を膨らませた。あれから6年がたち、ついに2024年1月に公開された、待望の「本編」となる『ハズビン・ホテルへようこそ』シーズン1を見通した今わか
信州大学の准教授でもあるBossBさん 本人のTikTokより 「ギャルが何なのか、よくわかってないです(笑)」 ──TikTokやYouTubeなどのSNSで、「物理をガチで語るギャル」「実はコロンビア大出身の博士」として話題ですね。なぜ、そのギャルスタイルに? BossB よく「ギャル」と言われますが、私としてはまったくそのつもりはないんですよ。日本でギャルが流行った頃にはアメリカにいて、20年以上海外で暮らしていたので。ギャルが何なのか、よくわかってないです(笑)。 オンライン取材でのBossB氏 ──そうでしたか。では、今のルックスになったのはいつ頃? BossB 髪の色を変えたのは、高校卒業後にニューヨークに行ってから。同じ色だったことがないくらい、いろいろやりました。赤や青、黄色、緑はもちろん、白にしたり。坊主にしたときもあったし。 ──坊主は強烈ですね。では、いわゆる「優等生
BossB はい。日本の受験制度は基本的にペーパーテストで、高得点が取れる子供たちを評価して輩出するシステムです。でも「テストで高得点を取る人間が、果たして新しいことを創り出せる人間なのか? 社会をリードしていくべき人間なのか?」ってことですよ。 私は今、大学でアカデミック・イングリッシュという授業を担当してますが、最初に「TOEIC対策みたいなくだらないことは、一切やりません」と言っています。 オンライン取材でのBossB氏 ──TOEICはくだらない? BossB 実にくだらないですね。TOEICの点数で私たちが必要とする英語力を測る社会が、くだらないです。 だって、TOEICやTOEFLでいい点数を取った学生に、私が「英語で自分らしさをアピールする自己紹介して」と言うと、だいたいウッと詰まっちゃいますよ。「〈自分らしさをアピールする〉という言語と独立したスキルが、コミュニケーションち
昨年12月27日発売の「週刊文春」で報じたダウンタウンの松本人志(60)の「恐怖の一夜」。スピードワゴンの小沢一敬に女性を集めさせ、グランドハイアット東京のスイートルームで飲み会を開催していたことなどを詳報した。参加者のA子さんと2人きりになった松本が「俺の子ども産めや!」などと性行為を迫った様子や、同時期に松本から肉体関係を迫られ、心的外傷を負ったと語るB子さんの証言も掲載している。 松本人志 ©文藝春秋 その後も、「週刊文春」は、福岡、大阪、沖縄での飲み会の模様や、19歳の夏に食事会に参加した元タレント女性の実名・顔出し証言を報じてきた。 そして今回新たに10人目となる告発者・I子さんの詳細な証言を得た。松本と出会った当時、I子さんは東京都渋谷区内にあるマッサージサロンに勤めていた。同店は、大河女優、紅白出場のバンドマン、プロスポーツ選手などの著名人が足しげく通う有名店だ。
9月7日の会見で、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子氏(57)は、社長からの引責辞任を発表した。だが、同時に「性加害の補償への取り組み」を理由に、代表取締役の留任を明かしていた。 会見に先立ち、「外部専門家による再発防止特別チーム」は、性加害問題の背景に同族経営の問題があると指弾した上で、ジュリー氏は代表取締役社長を辞任し、「解体的出直し」を図るべきだと提案していた。 藤島ジュリー景子が会見で見せた涙 ⓒ文藝春秋 「事業承継税制」を申請し、巨額の相続税を免除 なぜ、それでもジュリー氏は「代表取締役」に居座ったのか。その主な理由が、ジャニーズ事務所が「事業承継税制」の特例措置で税優遇を受けるためだったことが、「週刊文春」の取材で明らかになった。同誌の取材に対し、ジャニーズ事務所も事業承継税制の特例措置を申請し、適用されていると認めた。
アオサギがこれほど脚光を浴びる時が来ることを、誰が予想しただろう。 アオサギ、漢字で書くと「蒼鷺」。分類はペリカン目サギ科アオサギ属。アジア・ヨーロッパ・ アフリカに広く生息し、日本でも川や干潟や公園の池など、あらゆる水辺で姿を見ることができる。ヘビのように長い首、すらりとした足、長く太いくちばし、シラサギとは違う青みがかったグレーの体が特徴だ。 外見に劣らず、アオサギの暮らしはワイルドだ。魚や虫や甲殻類だけでなく、時には同じ鳥類や 小型哺乳類まで捕食する。「張り詰めた弓」のようにジッと動かないかと思えば、突如として矢のような瞬発がひらめく。長い首を素早くのばし、鋭いくちばしで獲物を捉えるのだ。堂々たる巨体の優雅さと、ナイフのような切れ味を兼ね備えたアオサギを眺めていると、「鳥は“恐竜の子孫”ではなく、“恐竜”である」という最新科学の結論に、いっそうの説得力を感じられないだろうか。 かよう
7月14日、宮﨑駿監督の最新作『君たちはどう生きるか』が公開された。宮﨑氏が引退宣言をした前作『風立ちぬ』以来、10年ぶりの長編で、公開17日間で興行収入は46億円を突破。事前に公開された作品情報は「ポスター1枚」のみという、異例のマーケティングが注目を集めた格好だ。 月刊「文藝春秋」は、『君たちはどう生きるか』で作画監督を務めた本田雄氏(55)に制作の舞台裏を独占インタビュー。およそ2時間に渡り、本田氏が語りつくした「宮﨑駿監督との真剣勝負」が8月10日(木)発売の2023年9月号、および「文藝春秋 電子版」(8月9日公開)に掲載される。 『僕にとっては最後の作品になるかも知れない』と言われると断れない 本田氏は、庵野秀明監督の「エヴァンゲリオン」シリーズを担当してきた名うてのアニメーターだ。今回、庵野氏率いるアニメ制作会社カラーからスタジオジブリへの“移籍”については、まず最初に、宮﨑
彼らはたぶん、他人と一緒にいること自体が不愉快な人。家事ひとつをとっても、自分とやり方が違うだけで我慢できないわけでしょ? 根本的に他人と同居することに向いてない。 ――どうして結婚したんでしょうね。 押井 上手くいくと錯覚しちゃったんですよ。若いとそういう錯覚に陥るものです。でも、夫婦にもいろんな夫婦がいて、家計は全部別、冷蔵庫に入れているものも、ちゃんと名前を入れて分けているとかね。そういうやり方もあるかもしれない。あとは一緒にいたいのなら努力しかない。 ――まずは奥さんに相談するのがいいんじゃないですか。「家事は俺がやりたい」の人は、この文面だと、奥さんに苦情は言ってないようでしょ? 自分でやるのは厭わない人みたいだから、奥さんも任せてしまえばいいのに。 押井 おそらく、そうなるとそうなったで、また苦情が出てくると思う。だから、この手の人は他人と暮らすのに向いてない。離婚がイヤだった
2022年11月に公開され、動員1100万人超、興収147億円超を記録した、新海誠監督による劇場アニメ『すずめの戸締まり』。歴代興収ランキング14位にランクインし、中国と韓国では日本映画興収第1位に輝くほどのメガヒットとなった。 新海誠監督に、4月から公開が始まったアメリカでの反応、創作におけるグローバルな視点の必要性、2023年が舞台の『すずめの戸締まり』でコロナを直接的に描かなかった理由について、話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む) アメリカでの反応は…アジアに比べたら「まだまだ」 ーー欧米における日本アニメの存在感についての話が出ましたが、4月12日からアメリカでも『すずめの戸締まり』が公開されました。反応はどうでしょうか? 新海誠監督(以下、新海) 中国、韓国と同じように、アメリカにも熱いファンの方々はいるんですよ。ただ、分母の数が圧倒的に小さいですね。 そうしたなかでも「
ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏の性加害について、現在の代表取締役社長の藤島ジュリー景子氏が「知らなかった」と釈明している問題。「週刊文春」がジャニー氏の性加害を報道し、ジャニー氏とジャニーズ事務所は名誉毀損で提訴したが、2003年に東京高裁で性加害が認定されていた。当時、取締役だったジュリー氏は、この裁判の結果を「知らなかった」と説明しているが、現経営陣がジャニー氏の性加害について把握していた疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。現在のジャニーズ事務所代表取締役で副社長を務めているジュリー氏の最側近が、裁判に出廷し、証人として証言していた。ジュリー氏は、前社長のジャニー氏と副社長だったメリー喜多川氏の二人以外、会社運営に関する重要な情報は知らなかったとしているが、現経営陣も性加害を把握していた疑いが強まった。 〈知らなかったでは決してすまされない話だと思っておりますが、
5月14日(日)の夜、ジャニーズ事務所が創業者で前社長の故ジャニー喜多川氏の性加害について、藤島ジュリー景子社長の動画と文書を発表して公式に謝罪した。 それを受けて、これまで沈黙を貫いてきたテレビ各局も、ニュース番組や情報番組で一斉に報道した。では、各番組のキャスターやコメンテーターは、ジャニー喜多川氏の性加害についてどうコメントしていたのだろうか。NHKと民放キー局の番組をチェックした上で、それぞれの報道スタンスを検証したい。 スタジオで「受け」のコメントをしているか ニュースを伝える際に、番組としての“姿勢”を示すことはとても大事だ。重要なニュースになればなるほど、スタジオでキャスターらが視聴者をリードしていくことが求められる。ストレートニュースとして扱い、スタジオで何のコメントもしなければ、それほど重要なニュースではないという視聴者へのメッセージになる。
相続税を節税しようとは思わなかった。天から降ってきたようなお金だからだ。ただ、とにかく期限内に正確に申告しなければ、自分の身が危うくなる。そこで父の死去直後から、相続税について猛勉強を始めた。そして、なすべき仕事を片っ端からこなしていった。 不幸中の幸いと言おうか、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故によって、日本中に自粛ムードが漂っていた。講演会やイベントなどの予定は、軒並みキャンセルになった。 「この10年間でこんなにスケジュール表が空いていることはない」というほど暇だったおかげで、奇しくも相続対策に全力を傾注できた。もし父が亡くなったのが2011年でなければ、とてもあの膨大な作業を一人でこなすことは不可能だったと思う。 以下、私が取り組んでいった膨大な作業を、覚えている限り、ご紹介しよう。 「お父さんをおんぶして2階まで来て下さい」 まず最初に、某銀行の高田馬場支店にある父の貸金
2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良で撃たれた事件を知った宗教2世の小川さゆりさん。最初は犯人に嫌悪感を抱いていた彼女だったが、山上徹也の人生を知るうちに、感情は複雑なものになっていく……。 宗教2世という共通項を抱えた彼女が、山上被告に思ったこととは? 彼女の壮絶な半生を綴った初の著書『小川さゆり、宗教2世』より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 「被害者」は私だけじゃなかった 2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良で撃たれた事件を知ったとき、私は横浜の自宅で仕事をしていました。生まれたばかりの子どもの世話をしながらだったので、日中はニュースを全く見ていませんでした。 「安倍さんが殺されたみたいだよ」 夕方、帰宅した夫にそう聞いたときは、「えっ」と大きな声が出ました。 でも、私がもっと驚いたのはその日の夜、テレビのニュースを見ていたときです。山上被告が「
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