カビなどによる劣化のため、石室を解体して修復中の奈良県明日香村の高松塚古墳(8世紀初め)の極彩色壁画(国宝)について、文化庁の有識者会議「古墳壁画の保存活用に関する検討会」は27日、墳丘に戻すとしていた計画を事実上、断念する方針を決めた。 現在の技術では、壁画の描かれた石室を戻しても、カビ被害の再発などを防ぐのは不可能との判断だ。 遺跡は現地での保存が原則で、同庁は2017年度をめどに石室を現地復元する予定だったが、検討会の結論を踏まえて計画を撤回する。同村のキトラ古墳(7世紀末~8世紀初め)でも、石室からはぎ取った壁画を、当面、墳丘に戻さない方針が決まっており、国内2例しかない極彩色壁画は、ともに現地復元が困難となった。 この日の検討会では、壁画を墳丘に戻すべきかどうかを最終的に協議。今後も現地保存の検討は続けるものの、カビなどの繁殖を防ぐ方法や石室内の温度、湿度を適正管理する技術が確立