【コピアポ(チリ北部)=堀内隆】地上への出口を奪われ、もう会えないかも知れない妻子を思った。でも生きる望みは失わず、一日でも長く生きようと手を尽くした。チリ鉱山事故で奇跡の生還を遂げた33人の作業員は、地元メディアにも「地底での70日間」を、語り始めた。 落盤は8月5日と7日の2度、起きた。リチャード・ビラロエルさん(26)は、収容されたコピアポ市内の病院でチリ国営テレビに対し、坑道を完全にふさいだ2度目の落盤が「最悪の瞬間だった」と振り返った。地上では、今秋に出産を控えた妻が帰りを待っていた。「妻にも、生まれてくる子にももう会うことはないのか、と思った」 33人のリーダーで、最後に地上に引き上げられたルイス・ウルスアさん(54)は、13日夜の救出直後、出迎えたピニェラ大統領に事故当時の様子を語っている。土煙がもうもうと立ちこめ、状況を把握するのに3時間かかった。作業員はあわてたのか、