写真のTシャツは、「10YC(テンワイシー)」というブランドの製品。10イヤーズクロージングの略で、10年たっても気に入って着続けられることを目指した服なのだという。着てみてまず感じたのは、シンプルで着心地がとてもいいことだった。ポリエステル素材で、肌触りも悪くなく、体によくなじむ。このシャツならおしゃれ上級者の着こなしにも応えられる、きちんと作り込んだ服だと思えた。 10YCの拠点は東京・墨田区。JR総武線の錦糸町駅から歩いて十数分の、地味で低いビル街の一角にある。社員は創業メンバー3人と、少し後から加わった1人を加えた4人で、みんな30歳になったばかり。分担を決めてすべての業務をまかなっている。みんな学校を出る前はファッションとは無縁だったが、就職した会社がアパレル会社と合併して、そこで体験して感じた服作りへの疑問が創業のきっかけだった。 製品開発と製造管理を担当している後由輝(うしろ