新人アーティストの評価と発表の場として2012年度に創設され、今回で5回目を迎える『FACE 2017(損保ジャパン日本興亜美術賞)』。数あるコンペティションの中で注目が集まっていることは、今回だけで902名にも及ぶ作家が出品しているという事実からも窺い知ることができるだろう。 これだけの応募作品が集まる理由は、この賞が「作品本位」の方針をはっきりと打ち立てて運営されているからだろう。毎年1000点前後の作品が集められる本展の審査では、約70点まで絞る複数回の入選審査とその約70点からさらに9点を選ぶ賞審査の機会が設けられている。審査中は作者名、年齢、性別などの情報が伏せられるので、審査員にとって評価の手がかりになる情報はまさしく「作品」のみだ。 そうした厳正な審査プロセスを経て、今回、栄えあるグランプリに選ばれたのは、幽玄とした無限の広がりを感じさせる抽象画を描く青木恵美子だった。青木に