大方の左派からすると、多国籍企業には今も漠然と邪悪なイメージがつきまとう。だが、こうした企業は平和と繁栄、国際協力を強力に推進する世界屈指の勢力だ。 大企業の力がなければ、米中関係は何年も前に悪化していたかもしれない。太平洋の両側には、より敵対的な関係を望む勢力がいる。中国の国家主義者、米国の労働組合、両国の軍事機構といった存在である。 過去20~30年間にわたり、中国が力と富を増すことは米国にとって好ましいという反論を繰り広げてきたのが、米国の多国籍企業だった。このため、米国の経済界が中国に幻滅する様子を見せ始めたことは、企業だけでなく国際政治にとっても不吉な兆候だ。 米国経済界が中国に幻滅する不吉な兆候 過去数カ月間で、米国で最も名高い有力企業3社が中国政府と衝突した。グーグル、ゴールドマン・サックス、ゼネラル・エレクトリック(GE)は、ハイテク、金融、工業分野における米国の強さを象徴