ピエール・バヤール(Pierre Bayard)著『How to Talk About Books You Haven't Read』(読んでない本について話す方法)を読んだ。(フランス語からの英訳) 「読んでない本について話す方法」といっても、普通のハウツーものではない。著者はパリ大学でフランス文学を教える大学教授。この本も、ふざけた題名からは期待外れの、マットーな文芸評論だった。 文芸評論の常として、概ね退屈だったが、中にひとつ面白い話があった。「主人公」は西アフリカのティヴ(Tiv)族。ナイジェリアとカメルーンに、合計約600万人が生活している。 そもそもの発端は、アメリカ人の文化人類学者ローラ・ボハナン(Laura Bohannan)が、「アメリカ人にシェイクスピアはわからない」とイギリス人に一蹴されたこと。「人間の性(さが)は世界中どこでも同じ!」というボハナンに、イギリス人は「