「年金給付を削らずに消費税だけ増税したら、その負担はいまの若い人に重くかかる」と言う話を見かけた。消費税率を引き上げた分だけ、制度的に年金給付額も増えると言う指摘のようだが誤りだ。今は平成16年改正で、消費税率引き上げのような賃金上昇なきインフレは、年金給付額を引き上げないようになっているからだ。 公的年金はわかりづらい制度なのだが、『厚生年金・国民年金 平成16年財政再計算結果(報告書)』の第3章の3節(特に第3-3-2図、下に転載)を読むと概要が分かる。68歳未満の未裁定者、68歳以上の既裁定者で調整方法が異なるのだが、物価>賃金>0のときは年金上昇率は両方とも賃金にあわせられる。消費税率引き上げは、今の年金生活者が受け取る年金にも影響するわけだ。 なお、物価スライド特例でデフレなのに給付額が削減されなかった分は、それが解消されるまで給付は維持される。また、当面は給付水準調整期間として