わたしは自分の書棚を持ってない。そう言うと驚く人がいるが本当である。世に読書家なる人がいて、壁一面の巨大な書架や、本で埋め尽くされた部屋、重みで抜けた床などを自慢気に語るが、正直なところ、羨ましい妬ましい→愛と憎しみと諦めの『私の本棚』 もちろん我が家にも本棚はあるし、トイレと浴室以外の全ての部屋にある。だが、それらは子どもの漫画場だったり妻の専用架になっており、いわゆる「わたしの本棚」は無い。わたしの本は、それぞれの棚の一部を間借りする形で、あっちへ数冊、こっちに少しと散らばっている。だから、本好きが「いつかは自分の書斎を」を夢見るように、いつかは自分の本棚を持てるようになりたい。 では、不自由しているかというと、そうでもない。自分の書棚がないのは不便だが、「不自由」ではない。むしろ、自由を得ていると言いたい。近所に書店はたくさんあるし(書棚は諳んじている)、図書館から好きなだけ借りられ