戦争勃発への懸念、経済や超高齢化への不安……。負の未来像に心が乱されがちな今、「覚悟」という言葉について考えてみたい。ものものしいイメージもあるけれど、仏教では「迷いを去って道理をさとること」を意味する言葉でもあるのだとか。宗教学者で、先の大戦の経験者でもある山折哲雄さん(91)に話を聞いた。 やまおり・てつお 1931年生まれ。国際日本文化研究センター元所長・名誉教授。専門は宗教史・思想史。「ひとりの覚悟」「生老病死」など著書多数。 ――「覚悟」という言葉には、ものものしいイメージもまとわりついています。戦前の日本も戦後の日本も見てきた山折さんの目に、現在はどう映っていますか。 「いろいろな意味で覚悟が求められる時代だと思っています。私は10代のころ、岩手県花巻市で米軍機からの機銃掃射を受け、死を意識しました。鎌倉時代の元寇(げんこう)や、第2次世界大戦での敗戦のような危機が訪れなければ
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