前に述べたようにウォレスは人間の知性(の少なくとも一部)が自然選択によって進化したことを否定する。ここでは彼の議論をDarwinismの最終章に沿って整理してみる(なお訳書は以下だが、わたしは読んでいません)。 ダーウィニズム―自然淘汰説の解説とその適用例 作者: A.R.ウォレス,長沢純夫,大曾根静香出版社/メーカー: 新思索社発売日: 2009/08メディア: 単行本 クリック: 27回この商品を含むブログ (7件) を見る ヒトの身体の進化 Darwinismの最終章は人間の進化にあてられている。彼はまずヒトの進化を身体の進化と心の進化に分けて考察する。身体の進化についてはウォレスは、ヒトと他の動物の連続性を全面的にみとめる。彼は痕跡器官、身体構造、未発達の器官(rudimentary organ)になどについて『人間の由来』を引用して、ヒトの身体的特徴の多くが他の動物にも見られるこ