道具を使って課題を解決し、言葉によるコミュニケーションで意思を伝え合い、物事を創造するなど、ヒトの脳は、地球上のどの動物に比べても卓越した機能を発達してきました。この脳の働きを担う神経回路は、多数の神経細胞が複雑で精巧なネットワークを構築して成り立っています。 神経回路がどのように構築されるのかを知るために、約100年ほど前から、神経突起が伸びる仕組み、特に、その先端部分の運動様式の研究が精力的に進められています。しかし、培養皿に張り付いた状態の神経突起の観察では、真の姿をとらえることができないままとなっていました。 神経突起と成長円錐の形態 神経突起は右曲がりに伸びる 脳科学総合研究センターの神経成長機構研究チームは、大阪大学の大学院生命機能研究科と共同で、神経突起の動きを3次元的に捉えることに成功し、先端部分が時計回り(右ねじ方向)に回転していることを世界で初めて発見しました。図 生体