19世紀フランス美術界の中で最も優れた画家のひとりジャン=バティスト・カミーユ・コローを代表する人物画作品『真珠の女』。コローが死去するまで手放さず客間に飾っていたことからも、画家自身、非常に重要視していたことをうかがい知ることができる本作は、画家の自宅の近所に住んでいた古織物商の娘ベルト・ゴールドシュミット(16-17歳の頃)をモデル(※本作のモデルに関しては一般的にベルト・ゴールドシュミットとする説が有力視されるが、諸説唱えられており、現在も議論が続いている)に、女性の上半身像を描いた作品である。本作に描かれるベルト・ゴールドシュミットは木の葉の冠を着けているが、額部分の飾りが、あたかも真珠のような輝きを放っているために『真珠の女』と呼称されるようになった。また古くから『コローのモナ・リザ』とも呼称されるよう、寸法を始め、やや斜めに構えるモデルの姿態や右手を上にして組まれる両腕など本作