ある朝キリンのアゾルカが目を覚ますと、目の前にキリンの足がありました。 (おや、寝惚けているのかな。起きたんだから首を起こさなくちゃ) ところが、いくら力を入れても、 視界が横に動くだけで、ちっとも首が上に上がりません。 ざわざわと地面の草が首を撫でてとてもむず痒いです。 (どうしたことだ。何かの病気かもしれない) と、アゾルカは思いました。 そこへ、アゾルカの母キリンがやってきました。 とても哀しげな目付きでアゾルカを見下ろして、こう言いました。 「坊や、あなたの首はもげてしまったの。じきにあなたには「死」に捕らえられるわ。 キリンは首がもげたら死んでしまうの。私にはどうすることも出来ないの。 新しい子供を作るために旅立つわ。さようなら坊や」 そう言うと母キリンはアゾルカの首を置いて去ってしまいました。 首のないアゾルカの胴体は、母キリンを慕ってついていきます。 母キリンははじめアゾルカ