このところ世話になった人や友人の親父さんなどが相次いでお亡くなりになった。ぞろぞろと集まる黒い人たちの輪の中に僕も黒い服を着て入る。泣き腫らした赤い目の黒い人たちに世話になった旨を告げたりお悔やみを申し上げると彼らは口々に「ありがとう」と言って悲しい顔で笑う。誰だって死にたくはないと思うのだけど、彼らはずいぶんあっさりと心臓を止めてしまい焼かれて骨になった。そのたびに僕は黒い人になり長い名前になってどこかへ消えてしまった彼らのことを、そして親父のことを思う。今日そっちに○○さんが行ったよ、というようなことを思う。 とはいえ、僕は輪廻を信じない。しばらく前に観た映画の中で「今から1万年ぐらい前は世界に5000万人ぐらいしか人類はいなかったけれど、それが今じゃ65億人を超えている。ていうことは、もしも輪廻転生があったとしたら1万年かけて魂が130分の1に分裂してることになる」というような台詞が