津波で自宅が倒壊した状況を説明する舟木長明さん（右から2人目）。後方には流された車も見える＝石川県珠洲市で4日午前9時55分、砂押健太撮影 能登半島の漁師町が一変した。激しい揺れと押し寄せる津波。家屋や道路、橋をのみ込み、人々の暮らしを壊していった。被害の全容はまだ分かっておらず、住民らへの援助は行き届いていない。最盛期を迎えた北陸の水産業にも打撃を与えている。 能登半島の石川県珠洲市を津波が襲った。寸断した道路で集落が孤立し、連絡が取れない安否不明者も多い。半島北端にある三崎町寺家（じけ）地区の沿岸部に記者が入った。 人口約1万3000人の珠洲市。中部にある市役所を車で出発したのは4日午前7時過ぎだった。道路上に覆いかぶさる倒壊家屋のがれきをよけながら、慎重に車を進めて約1時間。道路にひび割れが起きており、これ以上走ることはできなかった。車をそばに止め、歩くこと約15分、寺家地区の集落が