2000年3月 公開 僕が株式会社スクウェアの面接を受けに行ったのは、 1991年の初夏のことだったと記憶している。 当時、まだ赤坂のアルファベットセブンビルの 二階を占めるに過ぎなかった開発部から程近い建物に、 事務部の受付があった。 ファイナルファンタジー4が発売される前。 音楽チームには植松伸夫氏、伊藤賢治氏、赤尾実氏の 三人が在籍するのみで、業務拡張を見込んでの 人材募集に僕が応募したのだ。 とはいえ、それらの事情が分かってきたのは、 ずっと後になってからのこと。 元来がアーケード主体のゲーマーだった僕は、 スクウェアという会社がどのような業務を しているのかも知らず、またリリースされたソフトも、 一本もプレイしたことがなかった。 入社して初めて、自分がスーパーファミコンのゲーム開発に 携わることを聞かされたのである。 珍しくスーツを着て、ネクタ