私は歌舞伎者だから、「あさぎ色」といえば鮮やかな水色だとばかり思っていた。「チョンと柝が鳴って浅黄幕が落ちると、お軽と勘平の道行」というのはお馴染みの光景である。 そして、この「浅黄幕」というのは、空を表す水色の大きな幕であり、定式幕が開いた時に舞台全面を覆っているのである。 ところが、世の中はわからないもので「薄い黄色」、つまりベージュ系の色を指すという場合も、確かにあるようなのである。業界によっては、「あさぎ色」といえばこっちの方という場合もあり、何がなんだかわからないのである。 そこでふと思い立って調べてみたら、意外なことが判明した。単に「あさぎ色」と言っても、実は「浅葱色」と「浅黄色」という異なった二つの色を指すようなのである。で、私のイメージの中にある水色っぽいのは、「浅葱色」の方で、薄い黄色というのは「浅黄色」ということのようなのだ。 だが、これでもまだ済んだわけじゃない。こと
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