2024年1月28日のブックマーク (2件)

  • 『父 Mon Pere』辻仁成/家族には迷惑をかけていい - 書に耽る猿たち

    『父 Mon  Pere』辻仁成 ★ 集英社文庫 2020.8.6読了 辻仁成さんは、ミュージシャン、作家、最近ではニュースやワイドショーのコメンテーターも務めている。中山美穂さんの元夫だったという程度しか知らない人もいるだろう。2人の間に産まれた1人息子と一緒に現在フランスで暮らしている。多彩な才能を持つ辻さんだが、私はやはり作家としての辻さんがピカイチ抜きん出ていると思う。 おそらく、息子と2人でパリに暮らす実際の辻さんの生活を多少イメージして作られた作品だろう。もちろんフィクションではあるが、永くパリで過ごした筆者ならではの息づかいが感じられるのだ。 日人であるがフランス育ちの「ぼく」、30歳のジュールは、健忘症になった父親に何かと振り回されている。一方で、結婚を前提にした恋人のリリーとの関係も悩ましい。事故でなくなった母親との関係が過去とフラッシュバックしながら少しずつ浮き彫りに

    『父 Mon Pere』辻仁成/家族には迷惑をかけていい - 書に耽る猿たち
  • 『十年後の恋』辻仁成|恋をしよう - 書に耽る猿たち

    『十年後の恋』辻仁成 集英社[集英社文庫] 2024.01.22読了 フランスに住むマリエは、10年ほど前に離婚をし、子育てをしながら仕事をする怒涛の日々を送ってきた。そんな中突然現れた歳上のアンリという男性。もう恋なんてしない(槇原敬之さんの歌を連想しますよね…笑)と思っていたのに。まるで女学生に戻ったように、自分のすべてが相手に翻弄される。恋をしている自分自身に恋をしているかのよう。とっても辛いのに、幸せなこのひととき。 この作品でマリエは「愛」と「恋」を明確に線引きしている、というか、したがっている。フランス語では「amour」一つしか存在しないのに、なぜ日語には「愛」と「恋」が存在するのか。これに対しマリエの父親は名言を残すのだ。マリエは「恋」を求めるがどうなっていくのか、それがこの小説の肝となる。 フランス語と日語ではニュアンスの違いからうまく訳せないということがあるらしい。

    『十年後の恋』辻仁成|恋をしよう - 書に耽る猿たち