唯一、俺のことを心配してくれたおかあさんが死んだ。 危篤の電話があってから2時間くらいで、死亡の電話を受けた。なすすべもなかった。 おかあさんの死に目には、会えなかった。最後に、俺に言いたいことも聞けなかった。 おかあさんは、つねに裏方で尽くしてくれて、俺を叱るとか、諭すことはなかった。 自分の欲求を一切口にせず、常に家族へ黙々と尽くしてくれたおかあさん。 ごめんね、俺が手術をする判断をしなければ、今もお父さんといつも通りの生活を送っていたんだよな。 おかあさんは、俺の判断にも文句ひとつ言わず、病室で朝ドラをいつものように見て、手術室に運ばれたよね。 あの朝ドラが、おかあさんにとって、最後のテレビになったんだよね。 たぶん、続きがきになってたんだよね。テレビのカードも、あと300くらい残ってたもんね。 おかあさんは、いつも俺のことを、あんまり見なかったよね。最後になった時も。 おかあさんは
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