【識者の眼】「患者を一括りにしがちな私たちに潜むスティグマに注意しよう」西村真紀 第4回目はSDH(social determinants of health、健康の社会的決定要因)の一つであるスティグマについてお話しします。スティグマとは権力の下で一部の属性にラベリング(レッテルを貼ること)し、ステレオタイプ(固定観念)なイメージを持つことで、偏見や差別が起きる状態のことを言います。最近では新型コロナウイルスが「武漢ウイルス」と言われたことや、新型コロナウイルスに罹患した人に対する非難やその関係者に対する差別が大問題となっています。医療関係者の中にも障害者、LGBTQsの人々、生活保護受給者、薬物依存患者などのスティグマ現象が存在します。肥満、依存症など本人のコントロール下にあると誤解されがちな属性ほどスティグマ現象が起きやすく、これをスティグマの帰属理論と言います。スティグマは当事者に