前回書いた通り、私の2年半の介護経験は、「サンプル数1」に過ぎない。 世間にはもっと長く、それこそ10年以上介護の負担に耐えている人もいるわけで、この体験のみで介護に関する一般的な考察ができるとは思っていない。 ただし、それでも必死になって情報を集め、検討し、目の前の母の状態と比較し、我が身を省みることで見えてくるものもある。今回は、「老人介護と日本の未来」と、思いきり大きく振りかぶってみることにする。 「社会を維持する」大目標の中での認知症対策 まずこの年齢別人口構成図から始める。 高齢層が増えていて、1945年から数年間に生まれた団塊世代が70歳以上になりつつある。その一方で若年層は減る一方だ。人口動態は、かなり正確に将来を予測出来るものなので、こうなることは1980年代からもう分かっていた。その時点なら抜本的対策を打って出生率を増加させるという解決策もあり得た。例えばフランスは、それ