かたや六大学野球のスターとして鳴り物入りで人気チームへ入団、かたや貧乏な家庭からのテスト生上がり。長嶋茂雄氏と野村克也氏は、現役時代から“向日葵と月見草”として比べられ続けた。そんなライバル同士が最後に交わした会話とはいったい……。 元サンケイスポーツの記者で、ヤクルト時代に野村監督を担当していた飯田絵美氏による著書『遺言 野村克也が最期の1年に語ったこと』(文藝春秋)の一部を抜粋し、永遠のライバルの最後の邂逅を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) ◆◆◆ おまえ、頑張っているか? オレはまだ生きているぞ――長嶋との再会 ヤクルトОB総会の翌日、国鉄(現ヤクルト)、巨人で通算400勝を達成した大投手で、前年の10月に死去した金田正一(かねだまさいち)のお別れの会が都内で開かれた。野村が選手としてロッテに1年間在籍したときの監督が金田だった。当時、野村は43歳、金田は45歳だった。 「ワ