2011年2月、1冊の電子書籍が話題を集めた。タイトルは「348人の女工さんに話を聞いてみました」。大正時代の警察が工場の従業員に労働環境を聞き取りしたレポートから女工の回答を集めて編集した本で、作者はブログ「コトリコ」を運営するコトリコ氏だ。 注目はその販促方法。販売するのは、電子書籍がダウンロードできるURLをプリントした「段ボール」だ。電子書籍マーケットではなく、低コストで参加できるAmazonの委託販売サービスを利用している。480円の値が付けられた段ボールには、販売予定の3月22日までに1000件近くの予約が集まったということだ。 ※ 取材は東日本大震災発生以前に行なった。震災の影響を受け、販売時期は4月に延長されている(筆者註) コトリコ氏は、この取り組みの目的に「個人が電子書籍販売で利益を得る」ことを掲げていたが、本来の目的は別のところにあるらしい。顔の見えるインターネット
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