「これからはAIの時代だから数学を勉強させよう」みたいな提言はよく聞くんですが,現任校で教養系の部署にいるという意味で「中の人」として,こういうことをやるのがどれだけ大変かというのを身をもって知っているので,そのことを書いておきたいと思います。ちなみにこの記事では「文系大学に数学を入れる」という例で書きますが,これは当然数学に固有の話ではありません。その点,よく気をつけてください。 学生はこちらの思い通りに科目は取らない まず,仮に教養科目群の中に「文系数学入門」のような科目を選択科目の1つとして入れたとしましょう。シラバスにも「数学に苦手意識がある人でも大丈夫」とか「これからは数学必要」と書きましょう。でも,そもそも数学に苦手意識がある,もう数学に触れるのはまっぴら,みたいな学生がそういった科目のシラバスを見るでしょうか?見ないことは分かりますよね。よし,全学生に呼びかけよう。いやいや,