未曾有の豪雨災害に見舞われた西日本では、現在も懸命の復旧作業が続く。 特に被害が大きかったのは、岡山県倉敷市真備町での堤防決壊だ。現場は高梁川と小田川が合流する手前で、本流である高梁川の水位上昇により、支流の小田川の水が流れにくくなったことが、堤防決壊の引き金となった。 半世紀前からあった計画 小田川をめぐっては、高梁川との合流地点を付け替える工事が今秋に予定されていた。小田川が高梁川と合流する位置を現在より約4.6キロメートル下流に移動させることで、合流部分の洪水時の水位低下を図るものだ。 もっと早く対策しておけば――そんな声も漏れ伝わる一方、工事は一筋縄ではいかない現実が横たわる。計画自体は50年も前から存在していたにもかかわらず、なぜ現在まで着工に至らなかったのか。 高梁川と小田川の流域は、幾度となく水害に悩まされてきた。1893年10月に上陸した台風では、岡山県全域で床下・床上浸水
住宅地など約1200ヘクタールが水没し、多数の犠牲者が出ている倉敷市真備町地区。決壊した高梁川の支...
住宅地が大規模に冠水した岡山県倉敷市の小田川の決壊は、高梁川との合流地点付近が湾曲して水が流れにくくなっているため、水がたまって、上流側の水位が上昇する「バックウォーター現象」が原因とみられると専門家は指摘している。水害の恐れが高く、河川改修の工事が計画されていた。岡山大の前野詩朗教授(河川工学)は「改修後であれば洪水は防げたかもしれない」と話した。 前野さんによると、家の2階部分まで浸水した倉敷市真備町は、地区の東側を高梁川、南側を小田川に囲まれている。川の合流地点は湾曲しているうえ、川幅も狭く水が流れにくい。流れなくなった水は勾配が緩やかな小田川のほうにたまりやすく、決壊したとみられるという。一度浸水すると排水されにくく、浸水地域の水位が高くなりやすい。倉敷市が作ったハザードマップでも、今回浸水した地区のほとんどを2階の屋根ぐらいまで浸水する5メートル以上と予測していた。 国土交通省の
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