従来、ネアンデルタール人は煮炊きができなかったと考えられていたが、これを覆す新説が登場した。先月行われたアメリカ考古学協会(SAA)の年次総会で、ミシガン大学の古生物学者ジョン・スペス(John Speth)氏が、ネアンデルタール人は煮炊きをしていた可能性が高いとの見解を発表した。 ネアンデルタール人は約3万年前までヨーロッパから中近東にかけて分布していた初期人類の一種。従来の通説では、現生人類(ホモ・サピエンス)が繁栄する一方で、ネアンデルタール人が絶滅に向かった要因のひとつは、煮炊きによって食物をやわらかくし、骨からも脂肪分を採れたかどうかであると考えられていた。 しかし遺跡で見つかった骨や槍、食物の痕跡などから、スペス氏はネアンデルタール人も食物の煮炊きを行っていた可能性が高いと考えている。スペス氏の仮説では、ネアンデルタール人は革袋や樹皮のトレーといった道具だけで煮炊きを行って