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  • 今週の本棚:湯川豊・評 『冬の夢』=S・フィッツジェラルド著 - 毎日jp(毎日新聞)

    (中央公論新社・1890円) ◇五つの短編に漂う限りなき「はかなさ」 スコット・フィッツジェラルドは一九二〇年代のアメリカ文学の寵児(ちょうじ)だった。四〇年に四十四歳の若さで死んだから、ひときわ強い輝きを放って飛び去った彗星(すいせい)という感じがある。しかし、『グレート・ギャツビー』のような長編でも(これまた村上春樹氏の名訳あり)、この『冬の夢』で読むような短編でも、浮薄な流行(はやり)ものという印象はまったくなく、むしろ古典的な風格みたいなものさえ感じられる。 と同時に、五つの短編にはある種の「はかなさ」があって、それがおのずと深い陰翳(いんえい)を作品に与えている。時代がもたらしたものというより、この作家の才能の質といっていいだろう。限りなく生き生きとしていて、限りなくはかない。 「冬の夢」という一編の主人公、デクスター・グリーンは、あの長編の主人公ギャツビーに似ている。「運命の女

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