「通訳担当官」という肩書きを聞いたことはあるだろうか。 実は、各国の首脳や外相との会談の通訳は、基本的に「通訳担当官」に任命された外交官が担っている。 外務省が認める「語学のスペシャリスト」であり、国益をかけた外交の最前線に立ち会う厳しい職責を負う者たちでもある。 驚くことに、まったくの語学初心者が訓練を経て「通訳担当官」に選ばれることも多いという。 彼らはどのように養成されているのか、日本外交を支える“最強集団”に迫った。 (馬場勇人) 初心者から「通訳担当官」に 「ポーランド語は入省後初めて勉強しました。ゼロからのスタートです」 こう話すのは、外務省19年目の課長補佐、山下大輔さん(45歳)だ。 2017年にポーランド語の通訳担当官に登用されたが、外務省に入るまでまったくポーランド語とは縁がなかったという。 大学は外国語大学だが専門は国際関係。卒業後イギリスに留学したが、音楽を学ぶため