「何かいうことあるんじゃないの?」僕はげんなりとした気分を気取られないように注意しながら、そう口にした。「いえ、ですから、これを。」彼女は困惑した表情を浮かべながら1万円札を差し出してくる。僕は社会人一ヶ月目にして同僚の、だけれど二歳下の女性に惚れて、そしてその二日後に絶望した。 飲み会を行う、そう聞いたときは「もう一ヶ月経つのに、同じ課の新入社員しか面識ないもんな、そろそろ他の人たちとも交流深めなきゃ」と何となく思っただけだった。けれど、その飲み会の内容を聞いたとき僕は驚いて、思わず呟いてしまった。「100人…だと…」 飲み会、それは大学に居た頃には身近なものだった。就職祝い、誕生祝い。そう何かに理由を付けては近くのバーに行き、とりあえずギネスを、時々ハイネケンをマスターに頼み、やたらと背の高い椅子に座って友人と他愛の無い話をした。そんな時間は非常に心地よく、どうでもいい話に笑い、そして