現代社会の最大のテーマ「ありのままの自分」「本当の自分」 それを根本から問い直す一冊。 以前、読書好きの友人が、こんなことを言っていた。 「人前で演じちゃう自分がいて、でも西加奈子の作品にそれを肯定する作品があって、それでいいんだなと思って救われた」と。 この話を聴いた時に、「演じる」ということについてもう少し深く考えてみたものの、うまく考えがまとまらなかった。 そしてその答えが、ここにあった。 人と関わる時、「演じている」というのとは別の、「その人の前での自分」がいること。 本作品では、それを「分人」と定義づけている。 その人の前では常に、「その人の前での分人」。 でもまた、別の人の前では別の分人が登場する。この、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」「ありのままの自分」である。 ヨガや瞑想の中で繰り返される「ありのままの自分」。最近のブームだ。 わたしはそれを、「人と違う
![『私とは何か――「個人」から「分人」へ (講談社現代新書)』(平野啓一郎)の感想(725レビュー) - ブクログ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/0a11e408cd4d414cf11fe4844f941875ea64d4ac/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FI%2F31TjFJRxJqL._SL500_.jpg)